京都を、つぅか俺が行くのは四条だけなんだけど。
まぁその四条をブラブラと歩いていたわけさ。
したらね。
信号待ちしてた横断歩道の向こう側にカノジョさんがおられましてね。
それも一人じゃなくて、知らない男と二人で。
こういうのってなんで俺まで気まずくなるのかな。
カノジョさんもこちらに気づきましてね。
「うわ、やっべー」みたいな顔してんだよね。
まだ信号は青に変わりそうになかったのでちょいと考えてみたのさ。
対応を。
これがね。
まだ「ゴメンその日はどうしても外せない用事があるから」と俺の誘いを断ってその場にいるってのなら、怒りに任せてみてもよかったんだけどね。
あいにく俺から誘うことは全然なくて。
だいたい俺は一人で四条にいるわけだ。
四条っつったらアニメイトもハロショもあるわけだ。
トートの中には、まぁ、推して知るべし。
結局何をしたかというと、何もしなかった。
バッチリ目があったのに、互いに見て見ぬふり。
だがそれだけじゃあ日記に書かない。
今までで一番日記っぽいけど。
駅の喫煙スペースでメールを送ってみた。
「あの人は誰だい? 面白い回答があるなら言ってごらん」
みたいなことを。
返信が来るまで、ひたすらに楽しかった。
いったいどんな言い訳がなされるのだろうか。
別れ話でも持ち出されるのだろうか。
それとも「そんな宛先ねぇよ馬鹿」みたいな処理メールでも来るのだろうか。
おなじみの私的こんな返信は爆笑だランキングを作り煙を吐きながら笑う。
周りに誰もいなくてよかった。
タバコが一本なくなる前に、メールが返ってきた。
「あの人はあなたのお兄さんよ」
みたいなことが。
兄?
俺の?
爆笑したい衝動を必死に抑える。
兄て。
まぁ「違うの、あれは私のお兄ちゃんなの」というのもありきたりすぎてないけどさ。
合格だ。
俺のランキングのはるか上を行く回答だ。
「そうか。じゃあ仕方ないな」
みたいなことを送る。
あとはまぁ家に着いてからひとしきり笑おう。
んで。
思いついたわけだ。
もしかして穴兄弟ってこと?
ってことはあれか。
モトカレさんか。
やっべぇ。
爆笑が止まらない。